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2008年03月08日
厨房
僕の作品をいくつか読んでいる人はお気づきかもしれないが、僕は「建築環境工学」という学問を専攻した。
これは建築系の学問では花形の「計画系(設計)」や「構造系(強度の計算等)」と較べると地味だし、あまり需要は無いが、それでも一つの分野を形成している。
さてこう書くと、僕が計画系や構造系又は材料系などに弱い様な印象を受けるかも知れないが、僕は計画系には頗る強い。本当は都市計画に興味があったし、建築史にも興味があった。ただ単に、図面を引くのが嫌いで、それを主としないものを専攻したに過ぎない(計画系の教授達のガウディ賛美を嫌ったから、そちらに行かなかったというのも理由の一つではあるが)。
こういう経歴をもつ僕の目から見ると、作中で建築物の構造を理解しないままに書いている小説はプロアマ問わず多い様に思う。これは特に、建物を主な舞台として扱う推理小説に多い様に感じている。
無論、作中のトリックの関係でやむを得ず、というのは解かるし、そういう事であれば仕方が無いと思うのだが、しかし意味無く奇妙な構造をしている建築物が多いのはどうも下調べが杜撰な様に思えてしまう。建築基準法を遵守していなければならないとは全く思わないが、せめて文章化している建築物がどんな構造をしているかは想像して戴きたいものである。
一例として、厨房に関する間違いを列挙してみよう。
とりあえず、おかしな人が設計すれば実在もありえるので、断言は避けるが、本来断言してもいい程の常識である(消防法を良く理解していないが、もしかしたらそれによって定められているかも知れない)。
・外に面していない
上下水道管やガス管、換気管の配管長の都合上、厨房は外壁に面していた方が良い。ただ、それだけではなく、材料の搬入や生ゴミを捨てる為にも、外への扉の無い厨房は、機能的では無い。火を扱う箇所であるだけに、脱出し易く、又建築物の中央に位置し無い事が望ましい。
二階以上の高さにある場合は、上記の理由の為に、EVや階段の近所に作る事。
・食堂から遠すぎる
厨房はなるべく食堂に隣接していた方が良い。隣接できない場合も、なるべく近くに設ける事。当然同じ階にある事が望ましい。又、厨房-食堂間を結ぶ最短距離の導線に、トイレへの入り口を儲けない事。
・厨房の構造を右利き用にする
特別の理由が無い限り、厨房の構造は右利き用にする。例えば、コンロが左ならば、洗い場は右(フライパンを左手で持ち、箸やフラ返しを右手に持つ為)。
今まで気付いたところではこんなものだろうか。
当たり前の事ばかりを書いているが、小説を読むとこの程度のルールが意外に守られてはいない。
「建築物」の専門家を自称する推理小説の作家(僕の知るだけで二名)ですら、お粗末な知識でそう名乗っている。
お手元に見取り図(建物の略平面図)のついた推理小説が何冊かある方は、確認して欲しい。良く解かると思う。
投稿者 strap : 2008年03月08日 00:48
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