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2008年02月22日
牛人 (と「弟子」)
牛人というのは、中島敦の短編小説で、「古俗」と題された作品群の中の一遍。盈虚と共に昭和十七年七月に政界往来昭和十七年七月号(第十三巻七号、昭和十七年七月八日政界往来社発行 170~174ページ)にて発表された、彼には珍しいホラー小説である(同年十一月、今日の問題社からでた単行本「新鋭文学全集2 南島譚」に収められている。草稿や原稿は残されてはおらず、製作年代は不明)。無論、ホラー小説と位置付けているのは僕だけかも知れないし、事実(小説としてでは無く)ホラー小説として評価するならば、未熟な作品ではある。
しかしこれはやはり、豎牛という怪人の恐ろしさをその父である叔孫豹が体験する一種の復讐劇であると理解するべきであると思うし、恐怖体験が書かれた小説であると考えるべきであろう。
この作品は、春秋左氏伝の昭公四年(紀元前538年)の記事(「十二月癸丑、叔孫不食、乙卯、卒」のあたり)をもとに書かれているが、最近これに気付き、あっ! と気付いてしまった。
というのもこれは、中島敦の代表作である「弟子」と同時代・同地域を扱った小説であるからだ。
叔孫豹の子である仲壬が斉に亡命のは、昭公に与えられた玉環を身に付けたからであるが、「弟子」でもこの昭公については少し触れられる。「弟子」では昭公が亡命先で死亡した事が書かれ、孔丘が昭公の次の王である定公に仕官する事が書かれているのだ。
「牛人」で書かれた物語はこう考えてみると、中島敦の得意とする儒教の記述から取材された事がわかる。春秋左氏伝が元ネタで、しかも(故に)「弟子」に極めて近い時代であった事に驚きを覚えた。
却説、今久しぶりに「弟子」を読んでいるのだが、どうやら中島敦には、儒教が宗教であるという認識が欠けていたか、(当時の日本では思想と考えられていたので)それを匂わせなかった。
この物語がもし宗教人の物語として描かれていたなら、印象は随分と違ったものになったと思う。
尚、「弟子」を何と読むか、という問題であるが、
子路が他の所ではあくまで人の下風に立つを潔しとしない独立不羈の男であり、一諾千金の快男児であるだけに、碌々たる凡弟子然(ぼんていしぜん)として孔子の前に侍っている姿は人々に確かに奇異な感じを与えた
と、作中にルビがあるので、「デシ」ではなく、「テイシ」と発音すべきだと僕は考えている。
記述者 strap : 2008年02月22日 22:20
コメント
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いわずと知れた、三国志漫画の最高峰です。香港人の陳某氏が香港・台湾の雑誌で連載をしており、世界的な人気が有ります(これはその日本語翻訳版です)。
主人公は司馬懿と燎原火(趙雲)で、三国志物語を大胆なアレンジで描いているところが人気の少年漫画です。史実とは年齢が合わない等、大幅に改変された設定や追加されたキャラクターも沢山いますが、それが気にならない(というよりも、寧ろそこが良い)程面白い漫画だと思います。
三国志 全8巻セット (ちくま学芸文庫)
ちくまの全訳三国志の文庫版を、セットで売っています。「三国志」は、西晋の陳寿が記した歴史書で、三世紀(つまり三国志の時代に近い年代)に書かれた、正史のうちの一つです(正史は「二十四史」と言う様に、複数存在します。「後漢書」や「晋書」も正史の内の一つです)。この訳本では、裴松之という人によって付けられた注釈も、同時に収められています。
尚「正史」とは、「正しい歴史」という意味ではなく、「ある国家によって認められた歴史書」の事で、三国志は正史の中でも特に評価は高い部類に含まれます。紀伝体という記述方法で書かれており、三国志は本紀(皇帝の伝記と、その治世の記録の事)と列伝のみで書かれています。
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三国志演義の主役である劉備は、蜀書の「先主伝第二」、諸葛亮は「諸葛亮伝第五」、関羽や張飛は「関張馬黄趙伝第六」という列伝部分に納められています。
「魏志倭人伝」と俗にいう文章は、魏書(魏志)の「烏丸鮮卑東夷伝第三十」という場所に収められています。
三国志演義は三国志演義で面白いのですが、そのモチーフとなった史実を知る為には、先ず三国志を読むのが良いと思います。
読み易い文庫版で、入門用に最適ですよ。