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2007年12月07日
捨てる部分
捨てるか残すか迷っている。
迷いを棄て、捨て去る為にここに書く。
プロローグ部分での廖化と左慈。八王の乱。
永遠の命を持つ男と、爛柯の故事の世界から帰ってきた神仙。
「折角隻脚の俺が刺客に……」
という言葉遊びから生まれた、シーン(「セッカク」「セッキャク」の俺が「セッカク」に……)。
しかしそれはもうこの時点でもカット。
「接客」、「石槨」という単語も考えたが、組み合わせが難しかった。
「仙客」はその名残だが、左慈が仙客を用いて中空を飛ぶ記述自体は三国志演義にも見れる。
言葉遊びは、「巣立つ・卯建(スダつ・ウダツ)」という様な尻文字でやるよりも、「迂闊・卯建(ウカツ・ウダツ)」の様なあたまの文字でやる方が、小気味いい気がする。
「真逆、俺をこんなに迄待たせる女がいたとはねぇ」
酷い曲毛の男は微笑し、青い単の美しい少女を見る。少女は右肩に仙客を乗せ、木靴を履き、藤の冠を被っている。
男の口調は親しみが込められて居り、久方の対面を懐かしむ気持ちが込められていたが、しかし少女は冷淡だった。
「元倹、懐旧は後だ。お主には急ぎ仕事を頼みたい」
元倹と呼ばれた男も、比類も見ない美男子である。一見すると軟派で軽薄な男に見えるが、しかし引き締まった肉体が、この男が戦士である事実を静かに主張していた。
「実に連れない態度だね。今日まで生き延びていた事を喜んで呉れるものだと考えていたんだが、寂しい事だ」
「無論喜んで居るし、百年を待たせたお主には悪いと思って居る。しかし今は時間が無いのだ。奴等の専横をこれ以上許す訳にはいかん。こちらも手勢は数名なれば、手を一刻も早く打たねば成らぬ。吾等が一日を遅れる毎に、敵の勢力は益々と堅固な物に成る」
少女は男を随分と待たせていたにも拘らず、時間が無い事を主張した。しかしそれは男とて、最初から解っていた事であった。
「皆まで言うな。俺も同じさ。俺だって、これ以上罪の無い人々が殺されるのは見たく無い。もう人が死ぬのは、真っ平だ! この世がもっとましに変わるなら、平和な世の中が訪れるなら、俺は何だってやるさ! 汚れ仕事でも、何でもな!」
静かに語り始めたにも拘らず、男は喋りながら抑えていた気持ちを溢れ出させる。
「司馬氏の支配を終わらせてやる! 打っ潰してやる!」
そう発した後に男は己の感情に気付いて了い、場都の悪そうな顔をした。そして照れ隠しに笑いながら少女に訊く。
「で? 俺は何をすれば良い?」
男の心の内などは気付かなかったかの様な表情で、それに少女は澄まして答えた。
「先ずはお主が武曲を率い、尚書の楊駿を急襲、殺害する。その後に儂が流説を広め、敵の混乱を招く」
男はただ頷く。
男は無意識の内に佩刀に手を置き、その柄を強く握り締めていた。
投稿者 strap : 2007年12月07日 22:04