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2006年04月09日

自作「謀臣の資質」について

作品自体は→こちら

参考:「謀臣の資質」を書き終えて
    自作解説:実験掌編小説三篇

先ず、この作品は、「故国」という作品の焼き直しである。つまり、魯迅「故郷」初恋の人の事で書いた内容を作品としているだけとも言える。失ったものを、過剰に美化しているというところが、共通のテーマなのだ。失ったものこそ「故山」と「妻」との違いはあるが、同じテーマを、自分では知らず二度も書いてしまっていたという事になる。無論、二人の喪失感に耐える方法には大きな違いがあるし、その結末には小さな差があるが、しかし基本的に同じ主題の作品であるとも言える。
しかし、この作品独自の主題も存在する。それが
「愛する人への執着心が強すぎる故の過ち」
である。

僕自身、恋人を独占したいという欲はある。誰か他の男の車に乗った、などと聞けば、矢張り好い気持ちはしない。男なら誰しも気持ちは解るだろう。

主人公である李儒は、妻の昔の男が現れた事で、妻に裏切られた様な気になる。実際妻側としては、そんな気は無いのかも知れないが、独占欲の強すぎる男にとっては明らかな裏切りであった。それで主人公李儒は人を斬り、出奔するのである。
作品を書いている最中は気付かなかったが、この設定は何かに似ていると最近気付いた。そう、山田洋次監督作品、「幸福の黄色いハンカチ」だ。

幸福の黄色いハンカチ
「幸福の黄色いハンカチ」

以下は映画を知らない人の為の、あらすじ前半部。

高倉健は、武田鉄矢 、桃井かおりと偶然知り合い、北海道を旅する事になる。高倉健の目的地は夕張だった。この後、警察の検問で高倉健が服役を終え、刑務所を出所したばかりであるという事が判明。高倉健は六年前に傷害事件を犯していたのだ。当時高倉健は妻、倍賞千恵子に離婚暦があった事を知り立腹していた。妻の流産もあり、苛々していたところに酒場で喧嘩を売られ、相手を殴り殺していたのだ。刑期を終える直前、高倉健は妻倍賞千恵子に手紙を出していた。「おまえが良い男と再婚して、幸せになってくれている事を願う。もしまだ独りで暮らしているなら、庭先に黄色いハンカチをつけておいてくれ。もし無ければ、俺はそのまま去る」。高倉健の旅は、そのハンカチを確認する為のものだった。

あらすじを書くだけで泪が、止まりません。日本映画の傑作中の傑作。名作の中の名作でしょう。未だ観てない人は、是非見て下さい!
この映画を思い出した時、自分の作品の「独占欲」のモデルがわかりました。正にこれだったのですね。
男は誰しも、この罪を犯す直前の高倉健の気持ちは解ると思います。愛する気持ちが強いが故に、相手に隠し事があった事に腹を立ててしまうのです。それが結婚の前歴であれば、尚更でしょう。
尤も映画の主題はそこでは無く、話は愛の美しさを描く訳ではありますが、僕にとっては本当に印象深いシーンであります。

自作「謀臣の資質」は、この映画に影響を受けて作られたのだなぁと、気付きました。

投稿者 strap : 2006年04月09日 01:32

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