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2005年12月13日

グロックという短銃

三国志小説に限らず、小説を書く為には下調べが必要だ。
これは入念にやってもし過ぎるという事は無いと思うが、三国志小説の場合、事実とは異なると知っていても無視をする事もあるだろう。

さて、有名であるが故に安易な使われ方をする銃器メーカーの名前がある。この名前は僕の見たところ、杜撰な下調べで使われるケースが少なく無い。

グロック社は、オーストリアの短銃メーカーである。80年代初頭(1980~1983)、オーストリア陸軍トライアル用として、Pi80を開発し、正式採用された会社だ。それまではコンバットナイフのメーカーとして一部に知られる程度のメーカーであったが、創立者であるデザイナーのガストン・グロックは、得意分野のポリマー加工で革新的な銃器を開発し、自社を一躍有名会社へとしたのである。軽く錆びず、突起物の少ないデザインで、民間にも普及した。Pi80のコマーシャルモデルがグロック17であり、米国では$579.95で売っているそうだ(価格資料:国際出版株式会社 世界のハンドガン 1993年5月2日発行)。
さて、推理小説ファン達は賢しらぶって

「グロッグは空港の金属探知機に検知されない」
などというが、それは大きな間違いである。なぜならば、スライドと銃身自体は金属製だからである。現在この部分をプラスチックで作る技術を人類は持っていない。又現在はフレーム材にX線造影剤を添加してあり、銃としての形で手荷物検査に引っかかる対策も施されている。
又、ヲタク達は知ったかぶりをして、
「グロックは世界初のポリマーフレームを採用した銃」
などともいうが、これも大きな間違いである。史上初のポリマーフレーム採用銃は、H&K社が1989年8月に生産を打ち切ったVP70という短銃である。

先日、ヲタク向け推理小説を読む機会を得た。文章の稚拙さやプロットの甘さ、トリックが諸バレな事など、何故これがプロの作品としてやっていけるのかと首を傾げたが、最も驚いたのは下調べの杜撰さである。
作中グロック短銃が登場するのだが、先ずこれに撃鉄がある事に驚いた。グロック社の短銃は突起部分の少なさが売りの一つであり、無鶏頭銃という部類に分類され、当然ながら撃鉄は無い。鶏頭というのは、撃鉄を意味する単語であるからだ。そしてこの銃、作中では自動短銃では無いのだ!というのも、一発撃った直後に、犯人は撃鉄を起すのである。シングルアクションのグロックとは恐れ入った。驚愕のグロック銃である。
未来の事は断言できないが、現在までのグロック社の銃は、皆同じ操作で扱う事が又一つの売りである。僕の知っているグロック社の銃は、ハンマーレスであるし、ダブルアクション、それも(ハンマーレスであるし当然の事ながら)ダブルアクションオンリー(DAO)である。

推理小説ファンの為の銃器の紹介書を見つけたので紹介しておく。

小林宏明のGUN講座―ミステリーが語る銃の世界

小林宏明氏は、早川書房の推理小説専門誌でも執筆されているので、無知な推理小説ファンにも馴染みがあるだろう。書き手とファンには一読をお勧めする。

投稿者 strap : 2005年12月13日 00:37

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