« 中島敦の文体模写と文体。中島作品の文章の巧妙 | メイン | 日本名婦伝 »

カテゴリーへ
三国志小説作品目録
三国志小説論:エントリー一覧
ブログランキング・にほんブログ村へ

2005年10月23日

極大射程(上巻)・(下巻)

三国志を題材とした短編小説を執筆する前段階の事で、

つまり、三国志を知らない人にも読ませるか、予備知識の無い人を捨てるか。
と書いたが、あまりにも無知な人々の為に、作中説明文を入れてスピード感を殺すのはやはり宜しく無い。

極大射程(上巻)・(下巻)は、スティーブン・ハンターの代名詞的作品群、アールとボブのスワガー親子を主人公とするシリーズの第一作であり、圧倒的迫力で読ませる一級のミステリーである。
主人公は息子のボブ・ザ・ネイラーで、彼はアメリカ海兵隊出身の伝説的スナイパーである。退役後、アーカンソーでひっそりと暮らしていたのだが、大司教の徂撃事件に巻き込まれる事となった。クライマックスでは、シュレック大佐指揮の大勢のプロ達と、山中で壮絶な撃ち合いを演じる。

この作品、文句無しに面白いし、敵が使うライフリングマークのトリックも、本当に実行可能なのかどうかは知らないが、かなり唸らせる。無論アクションシーンは胸を熱くさせるし、登場人物がカッコいい。先に書いたが、一級のミステリーであるとも言えるだろう。犯罪小説、ハードボイルド、アクション小説‥‥‥という様な要素は確かにあるが、やはりミステリー、推理小説というカテゴリーが最も正しいだろう。

しかしこの作品を推理小説マニアが高く評価しているという話は聞かない。

初恋の人の事にも書いたが、彼らは頭が悪いので、作品の良さを認識出来ないのかも知れない。確かにそれはあるだろう。しかし僕は思う。彼らがこの作品を理解できないのは、

彼らが無知だから
だと。

例えば作中「グレイン(グレーン、grain)」という重量の単位が度々出てくるが、これを単位だと知る者は推理小説マニアには少ない(調査済み)。
ボブの銃、レミントンM700がどんな銃か知っている者は?凶悪な敵、ジャックペインの散弾銃に装弾された十二番径のダブルOバックとは?
彼らには常識が無いとしか言い様が無い。言葉の意味も解らずに読んでいるのだ。

この作品であるが特に、以下の三つのキーワードの意味が解らないと、トリックも最後の裁判劇も、全く意味がわからないという事になる。推理小説マニア達がこの作品を評価できないのは、以下の用語を知らないからであろう。

・ライフリングマーク(旋条痕)
・ファイアリングピン(撃針)
・プライマー(雷管)

彼らがこれらの用語をもし知っていれば、もう少し評価も違ったのではなかろうか。

一応簡単な解説をしておく。

・ライフリングマーク(旋条痕)=発射後のブレッド(弾丸)に残されたバレル(銃身)の溝(ライフル)の痕。バレルの溝は、ブレッドを加速させる為の物。バレルに使われる金属は硬質であり、同じ様に切っていても同じ様には切れないし、工具も毎度痛み形が変形する。つまりライフリングマークは、ブレッドを発射した銃の種類を特定するだけでなく、比較顕微鏡を用いれば一挺の銃を特定する事が出来る。銃器犯罪捜査の常識である。

・ファイアリングピン(撃針)=銃に於いて、プライマーを叩く部分。輪胴式鶏頭銃の場合には、ハンマー(撃鉄)と一体になっている事もある。通常はハンマーに叩かれて前進をする。

・プライマー(雷管)=アミネーション(弾薬、カートリッジとも)に於いて、ケース(薬莢)内のプロペラント(火薬)を起爆させる為のもの。ファイアリングピンに叩かれて発火する。

投稿者 strap : 2005年10月23日 23:55

ホームページ制作・ビジネスブログ(商用ブログ)構築|福岡・大牟田