白沢図@白沢図A白沢図B白沢図C白沢図D白沢図E白沢図F白沢図G白沢図H |
奥に入り暫く進むと、斗折蛇行したのを見て、 「伯先、これは注意をした方が良い。路が険しく先が見えない。不案内な我々では、賊と遭遇した時対処が難しい。ここで徂撃されては、我等は崩れ散るしか無いではないか。ここは方々に一度斥候を出し、一度安全を確かめよう」 と、恪が私に謂う。確かにその時の隊列では、挟撃された際、前後間の連絡が分断され易く極めて脆い。それで私も成る程と感心し、八方に偵察の兵を出した。 私達はそこで暫くの休憩をしていたが、そこに大慌てで先程出した偵察分隊の一つが戻って来る。緊急した事態だと悟った私は素早く立ち上がり、その伍長を待った。 伍長は息を切らせながら我々の前に立ち、 「子供の様な生き物が小路の真中におり、通る事ができません」 と、手短に報告した。それで私が、 と叱責すると、 「毛は生えておらず、手を伸ばして我々を捕らえようとしています」 と答えた。それを聞いた恪が、 「二つの傾斜の境目に細径が在り、そこに脛の埋まった奚童の様な者が俟ち構え、警する様に居るのだな?そして近くには谿もあるのであろう と聞けば、伍長は大きく頷く。 と謂い、恪は私を見る。 「では少し安全な処を廻り、引き返しますか? 」 と問うと、 「否、厄介な奴が居るのだ。俺の在任中にあの様な者が居ては、俺の名に係わる。全く迷惑な話だ。矢張り殺して了おう」 と笑った。そして、 「まぁ、俺も其いつを診てみたいしな。百聞一見、博学篤志。見識を広めるとは、こういう事だ。この様な珍しい物も看れるので有るから、能の無い前任者共にも感謝すべきかも知れぬな」 |